2020年10月21日水曜日

【レポート】新しいインターネット接続サービス「光コラボレーション」とは?

記事公開日:2015年06月13日(土)
最終更新日:2020年10月21日(水)


当記事は随時内容を更新していますので、記事冒頭の右上の「最終更新日」をご覧ください。

近年、「光コラボレーション」(以下、光コラボ)という言葉をよく耳にすると思う。

2015年2月に、NTT東日本・西日本(以下、NTT東西)が開始させた新たなインターネット光回線(以下、光回線)の販売ビジネスの名称で、「NTT光回線卸売り事業」と表記されることも。

これまでNTT東西は、光回線(ブランド名:フレッツ光)を一般ユーザーへ直接販売・提供してきたが、これを問屋のように企業へ複数回線単位で卸売りできるようにした。

NTT東西が定める条件さえ満たせば、通信事業とは無縁の企業でも参加は可能。

参加が認められた事業者のことを、光コラボレーション事業者(以下、光コラボ事業者)と呼ぶ。

光コラボ事業者は自社サービスと抱き合わせた光回線の販売が可能となり(もちろん光回線のみを販売することもできる)、「○○光」というように独自のブランド名で販売できる。

販売条件や割引条件も光コラボ事業者側で自由に設定できる。

代表的なものとして、NTTドコモ(以下、ドコモ)が提供する「ドコモ光」やソフトバンクの「Softbank光」がある。

ドコモやソフトバンクはNTT東西より光回線の卸売りを受けて一般ユーザーへ販売し、携帯電話契約とセットで契約すると携帯電話の基本料金や通信プランを割引く仕組みを導入している(ドコモは携帯電話契約無しでドコモ光のみの契約も可能。ただし携帯電話とセット契約の場合に比べて割引きの恩恵は少ない)。

光コラボ事業が始まるまでは、NTT系の光回線でインターネットに接続(以下、ネット接続)するには、NTT東西以外にインターネットサービスプロバイダ(以下、ISP)と呼ばれる企業とも別途契約を結ぶ必要があり、支払いもNTT東西とISPそれぞれにする必要があった。

ISPはネット接続に必要な手続きをサポートしたり、各種コンテンツサービス(メールなど)を提供する企業のことで数百社と存在する。

ネット接続の許可証を発行する組織と思っていただければ。

NTT東西がISPの役目も担えば良いのでは?と思われるかもしれないが、「日本電信電話株式会社等に関する法律」(通称:NTT法)による制約だ。

NTT法については当記事では割愛させていただく。

イメージ的にはNTT東西とISPで役割分担している感じ。

自宅や会社など、ユーザーがネットを利用する場所からインターネットの入り口までの部分をNTT東西が整備・管理し、インターネットの入り口から先はISPが整備・管理する。

そのため、NTT東西とISPのいずれか一方と契約しただけではネット接続はできず、2社との契約がそろって初めて利用できるようになるのだ。

この状況から、トラブル時は内容によってNTT東西とISPのどちらに問い合わせればよいのか、利用者を悩ませることもあった。

特に障害発生でネット接続ができない時、原因がNTT側の設備なのかISP側の設備なのか個人では特定が難しかった。

光コラボ回線では全ての光コラボ事業者とは言わないが、これらの課題が解消される。

先述のドコモ光の場合、光回線とISPの契約をセットにして料金もドコモ光の基本料金内に含めて提供しているため(ドコモが提携しているISPのみで、別途契約・支払いが必要なISPもあるので注意)、支払いはドコモ1社に集約できる。

さらにドコモ自身が運営している「ドコモnet」というISPがあり、ドコモ光+ドコモnetの組み合わせで契約すれば、問い合わせ窓口も全てドコモ1社に集約できるのだ。

ドコモ光+ドコモnet以外のISP(ドコモがドコモ光とセット料金で提供しているISPのみ)の場合は支払いはドコモ1社に集約できるが、問い合わせ内容によってはISPに別途連絡が必要な場合があるため、問い合わせ窓口の一本化は解消されない。

Softbank光の場合はISPもソフトバンクが運営しているため、支払いも問い合わせ窓口も全てソフトバンクに一本化できる。

光コラボ回線のメリットを以下にまとめる。

【一般ユーザーのメリット】
*光コラボ事業者の回線を利用した方が、NTT東西(フレッツ光)+ISP別途契約に比べて料金が安くなる(☆1)。
*ドコモやソフトバンクなど、光コラボ事業者が光回線とセット契約を条件に自社商品を割り引いて提供している場合は、更に節約が期待できる。
*料金の支払先がNTT東西とISPの2社から、光コラボ事業者1社に集約できる(☆2)。
*ソフトバンクやドコモなど、光コラボ事業者がISP業務も担っている場合は各種手続きや問い合わせ窓口も一本化できる(☆3)。

【光コラボ事業者のメリット】
*自社商品と光回線をセット・割引販売することで、販売促進と顧客獲得につながる。
*独自のブランド名で光回線を販売でき、企業としての宣伝効果が生まれる。
*NTT東西から大量に光回線を仕入れることを条件に安く提供を受けた分、契約者へも割り引いて安く提供できる。
*回線品質の維持管理や設備投資、障害発生時のサポートはNTT東西が行うため、営業活動や窓口業務に専念できる。

【NTT東西のメリット】
*販売相手を一般ユーザーから企業へ切り替えることで営業件数を大幅に削減でき、営業部門のコスト(人件費・宣伝コストなど)も削減できる。
*削減した費用は設備投資や品質管理に回せ、光コラボ事業者にも回線を安く提供できる。
*一般ユーザーへの営業(販売)と問い合わせ窓口は光コラボ事業者に任せることで、設備の維持管理により専念できる。

☆1:フレッツ光+ISP契約よりも割高になるケースもある。
☆2:ISP契約を含まない光コラボ事業者もあり、その場合は別途ISPと契約が必要で料金も別途発生する。
☆3:ドコモ光の場合、ドコモnet以外のISPと契約の場合は問い合わせ窓口は一本化されない。

NTT東西はフレッツ光(NTT東西+ISP別契約)の販売も継続しており、新規契約を受け付けているが今後は光コラボ事業が中心になっていくだろう。

光コラボ回線は契約者数を順調に伸ばしており、株式会社MM総研が2020年5月28日付けで公表した「ブロードバンド回線事業者の加入件数調査(2020年3月末時点)」によると、フレッツ光回線と光コラボ回線の総合計はNTT東西合わせて2165.8万契約とのこと。

日本国内の光回線市場(以下、FTTH市場)全体では65.5%を占める。

2165.8万契約のうち、フレッツ光回線は777万契約でコラボ光回線は1388.8万契約。

光コラボ回線はNTT光回線全体の64.1%となり、既にフレッツ光回線は劣勢になっている。

光コラボ事業者の中で最も契約者数が多いのはドコモで、携帯電話とのセット販売で契約者数を伸ばしている。

ドコモとソフトバンクを合わせると、光コラボ回線の7割以上を占めるという。

FTTH市場全体で見ても、光コラボ回線は42%を占めているそうだ。

今後も光コラボ回線の契約者数は伸びるだろう。

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